Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

Lesen Sie 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 113.429 Zeichen · 227 Bildschirme

Aozora Bunko

ひとりひとりの顔を見ながら、

「大きくなったじゃないの。今に先生においつくわ。あら、小ツやんなんか、追いこしそうだ」

小ツルに肩をならべ、

「へえ、まけた。でもしようがない、小石先生だもんね」

みんな笑った。

「あんたらが小石先生といったもんで、いつまでたっても大石先生になれないじゃないの」

また笑った。笑いはするが、だれもまだ、なんともいわない。

「いやに、おとなしいのね。五年生になったら、こんな、おとなしくなったの」

それでもにこにこしているだけなのは、小石先生が、なんだかまえと少しかわって見えたからだった。色も白くなっているし、そばにくると、スミレの花のようにいいにおいがした。それは嫁さんのにおいだというのを、みんなは知っていた。

「せんせ」

マスノがやっと口をきった。

「先生、唱歌おしえてくれるん?」

「そう。唱歌だけじゃないわ。あんたたちの受けもちよ、こんど」

わあっと歓声があがり、きゅうにうちとけてしゃべりだした。先生、先生とだれかが呼びつづける。呼びつづけながら岬の村のいろんなできごとが、その海の色や風の音までつたわってくるようにわかった。コトエのうちでは最近、おばあさんが卒中でなくなり、ソンキのお母さんはリョウマチで寝こんでいるという。