Japanische Klassiker mit Furigana
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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
Lesen Sie 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 113.429 Zeichen · 227 Bildschirme
まねくと土手の下まで走ってきて、そっくりそのまま母親に通じる目で笑った。手をのばすと、ますます母親似の顔をして、きまりわるそうに引っぱりあげられた。仁太のことをきこうとする先生ともしらず、松江は、じぶんひとりの気づまりさからのがれようとでもするように、せっぱつまった声で呼びかけた。
「せんせ」
「なあに」
「あの、あの、うちのお母さん、女の子うんだ」
「あらそう、おめでとう。なんて名前?」
「あの、まだ名前ないん。おとつい生まれたんじゃもん。あした、あさって、しあさって」
と、松江は三本の指をゆっくりと折り、
「六日ざり(名付日)。こんど、わたしがすきな名前、考えるん」
「そう、もう考えついたの?」
「まだ。さっき考えよったん」
松江はうれしそうにふっと笑い、
「せんせ」
と、いかにもこんどは別の話だというふうによびかけた。
「はいはい。なんだかうれしそうね。なあに」
「あの、お母さんが起きられるようになったら、アルマイトの弁当箱、買ってくれるん。ふたに百合の花の絵がついとる、べんと箱」
すうっとかすかな音をさせていきを吸い、松江は顔いっぱいによろこびをみなぎらせた。