Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

Lesen Sie 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 113.429 Zeichen · 227 Bildschirme

Aozora Bunko

「新聞をよんでいる人?」

二、三人だった。

「あかって、なんのことか知ってる人?」

だれも手をあげない。顔を見あわせているのは、なんとなく知っているが、はっきり説明できないという顔だ。

「プロレタリヤって、知ってる人?」

だれも知らない。

「資本家は?」

「はーい」

ひとり手があがった。その子をさすと、

「金もちのこと」

「ふーん。ま、それでいいとして、じゃあね、労働者は?」

「はい」

「はい」

「はーい」

ほとんどみんなの手があがった。身をもって知っており、自信をもって手があがるのは、労働者だけなのだ。大石先生にしても、そうであった。もしも生徒のだれかに、答えを求められたとしたら、先生はいったろう。

「先生にも、よくわからんのよ」と。

まだ五年生にはそれだけの力がなかったのだ。ところがすぐそのあと、このことについては、口にすることをとめられた。ただあれだけのことがどこからもれたのか、大石先生は校長によばれて注意されたのである。

「気をつけんと、こまりまっそ。うかつにものがいえんときじゃから」

校長とは、父の友人というとくべつの関係だから、それだけですんだらしい。だがこのことは、明かるい大石先生の顔をいつとなくかげらすもとになった。