Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

Lesen Sie 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 113.429 Zeichen · 227 Bildschirme

Aozora Bunko

でも、とにかく戦争がすんでよかったじゃないの」

「まけても」

「うん、まけても。もうこれからは戦死する人はないもの。生きてる人はもどってくる」

「一億玉砕でなかった!」

「そう。なかって、よかったな」

「お母さん、泣かんの、まけても?」

「うん」

「お母さんはうれしいん?」

なじるようにいった。

「バカいわんと! 大吉はどうなんじゃい。うちのお父さんは戦死したんじゃないか。もうもどってこんのよ、大吉」

そのはげしい声にとびあがり、はじめて気がついたように大吉はまともに母を見つめた。しかし彼の心の目もそれでさめたわけではなかった。彼としては、この一大事のときに、なおかつ、ごはんを食べようといった母をなじりたかったのだ。平和の日を知らぬ大吉、生まれたその夜も防空演習でまっくらだったと聞いている。燈火管制のなかで育ち、サイレンの音になれて育ち、真夏に綿入れの頭巾をもって通学した彼には、母がどうしてこうまで戦争を憎まねばならないのか、よくのみこめていなかった。どこの家にも、だれかが戦争にいっていて、若い者という若い者はほとんどいない村、それをあたりまえのことと考えていたのだ。