Japanische Klassiker mit Furigana
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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
Lesen Sie 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 113.429 Zeichen · 227 Bildschirme
『靖国』は妻だけでたくさんでないか」
しかし大吉は、そういう母をひそかに恥じてさえいたのだ。軍国の少年には面子があった。彼は、母のことを極力世間にかくした。大吉にすれば、母の言動はなんとなく気になった。ずっとまえにもこんなことがあった。病気休暇でかえっていた父に、ふたたび乗船命令が出たとき、大吉がまっさきにいきおいづいて、並木たちとさわぎたてると、母は眉根をよせて、おさえた声でいった。
「なんでしょう、この子。馬鹿かしら、ひとの気もしらずに」
そういって額をつんと指さきで押した。ひょろひょろと倒れかかった大吉は、腹を立ててむしゃぶりついてきた。しかし、母の目に涙がこぼれそうなのを見ると、さすがにしゅんとしてしまった。父は笑って大吉をなぐさめた。
「いいよ、なあ大吉。まだ八つや九つのおまえらまでがめそめそしたら、お父さんも助からんよ。さわげさわげ」
しかしそういわれるともう騒げなかった。すると、父は三人の子どもをいっしょくたに抱えて、
「みんな元気で、大きくなれよ。大吉も並木も八津も、大きくなって、おばあさんやお母さんを大事にしてあげるんだよ。それまでには戦争もすむだろうさ」