Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

Lesen Sie 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 113.429 Zeichen · 227 Bildschirme

Aozora Bunko

十 ある晴れた日に

大石先生はそっと運動場の隅にゆき、ひそかに顔をととのえねばならなかった。そういう彼女に、早くもあだ名ができていたのを、彼女はまだ知らずにいた。岬の村に仁太はやっぱりいたのである。だれが先生の指一本の動きから目をはなそう。

彼女のあだなは、泣きみそ先生であった。

十 ある晴れた日に

四月とはいってもまだ寒さの名残りは午後の浜べにみちていた。砂の上に足をなげだしていた大石先生は、思わず立ちあがって、はたはたとモンペのひざをはたいた。そのうしろ姿へ呼びかける者があった。

「先生、そんなとこで、なにしておいでますか?」

西口ミサ子であった。

「まあ、ミサ子さん」

はでな花模様の銘仙の袷にきちんと帯つきで、ミサ子はこれからどこかへ出かけそうなかっこうに見えた。あらたまったあいさつのあと、きゅうに親しさをみせて、

「先生にお目にかかりたくて、いま、学校へゆくところでしたの」

そういってから、もう一度あらためて腰をこごめ、

「先生、このたびはまた、ふしぎな御縁で勝子がお世話になることになりまして、どうぞよろしくお願いもうします」

そのゆっくりとしたものいいぶりや、ていねいなものごしは、二十年前の彼女の母親にそっくりであった。