Japanische Klassiker mit Furigana
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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
Lesen Sie 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 113.429 Zeichen · 227 Bildschirme
雨風にさらされ、黒くなった小さな板屋根の下に、やはり黒っぽくよごれた小さな位牌が一つ、まるで横になって寝ているように倒れていた。生前のコトエが使っていたのであろうか、浅い茶碗に茶色の水が半ば干からびていた。それになみなみと水をそそぐそのわきで、大石先生は位牌をとって胸にだいた。これだけが、かつてのコトエの存在を証明するものなのだ。俗名コトエ 行年二十二歳 ああ、ここにこうして消えたいのちもある。医者も薬も、肉親のみとりさえもあきらめきって、たったひとり物置きの隅で、いつのまにか死んでいたというコトエ。――もしもわたしが男の子だったら役にたつのにというて、お父さんがくやむんです。わたしが男の子でなかったから、お母さんは苦労するん……
男に生まれなかったことをまるでじぶんや母親の責任であるかのようにいった六年生のコトエの顔が浮かんでくる。希望どおり彼女が男に生まれていたとしても、今ごろは兵隊墓にいるかもしれないこの若いいのちを、遠慮もなく奪ったのはだれだ。また涙である。
「去に。めずらしげにつきまわらんと」
そういったミサ子の叱り声で、子どもたちに見られていることに気がついた。