Japanische Klassiker mit Furigana
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にじゅうしんぞう
二重心臓
夢野 久作
Lesen Sie 二重心臓 (にじゅうしんぞう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.188 Zeichen · 129 Bildschirme
とにも角にもあの芝居だけは止めてもらいたくないものです。仏蘭西と日本だけですからね。大東京の誇りと云ってもいいものですからね。云々。
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八月四日の午後四時頃、大森山王の一角、青空に輝く樫の茂みと、ポプラの木立に包まれた轟邸の玄関の豪華を極めた応接室で、接待用らしいMCCを吸いながら、この夕刊記事に額を集めていた二人の巡査が、同時に読終ったらしく顔を上げた。どちらも大森署の巡査であるが、一人は猪村といって丸々したイガ栗頭。大兵肥満の鬚男で、制服が張千切れそうに見える故参格である。これと向い合って腰を卸した文月というのは蒼白い瘠せこけた、貧弱そのものみたいに服のダブダブした新米巡査で、豊富な頭髪を綺麗に分けていたが、神経質な男らしくタッタ今読棄てた夕刊の記事を今一度取上げて、最初から念入りに読直し初めた。
猪村巡査はそうした若い巡査の熱心な態度を見ると何かしらニヤリと笑った。腮一面の無精鬚をゴリゴリと撫でまわして腕時計をチョット覗いたが、やがてブカブカした緞子張りの安楽椅子に反りかえって長々と欠伸をした。