Japanische Klassiker mit Furigana
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にじゅうしんぞう
二重心臓
夢野 久作
Lesen Sie 二重心臓 (にじゅうしんぞう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.188 Zeichen · 129 Bildschirme
があったりして割に人眼に立たない方だけれども、よく見るとラテン型の本格的な美人で、しかも声が理想的なソプラノだ。もっともあのソプラノを一パイに張切ると持って生れた放浪的な哀調がニジミ出る。涯しもない春の野原みたような、何ともいえない遠い遠い悲しさが一パイに浮き上るのが傷といえば傷だ。日本では現在、あんなようなクラシカルな声が流行ないが、西洋に行ったら大受けだろう。俺はあの娘を洋行さしてやるのを楽しみに、ああやって家の庭の片隅に住まわせて、呉羽とも親しくさせているのだが、兄も妹も寸分違わない眼鼻を持っていながらに、どうしてあんなに甚しい美醜の差が出来るのか、見れば見る程、不思議で仕様がない。もちろん兄貴の方がアンナに醜い男だから大丈夫と思って油断していたら、思いもかけぬ妹の方へクレハの奴が同性愛を注ぎ初めたりしやがったので俺は全く面喰らっている……と仰言ったのですが、これはミンナ事実なのでしょうね。ヘヘヘ」
「……………」
呉羽は辛うじて首肯いた。笠支配人も一つゴックリとうなずいて膝を進めた。
「一体貴女が結婚したいと仰言るのは誰ですか。ハッキリ仰言って頂けませんか。