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Japanische Klassiker mit Furigana

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にかいから

二階から

岡本 綺堂

Lesen Sie 二階から (にかいから) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.761 Zeichen · 30 Bildschirme

Aozora Bunko

陸軍大尉の軍服は着けているが、どこの誰だか判らないということになってしまった。要するに彼はほんとうの軍人でない、何者かが軍人に変装してこの火薬庫へ窺い寄ったのではあるまいかという決論に到着した。果してそうならば問題がまた重大になって来るので、死体を一先ず室内へ舁き入れて、何や彼やと評議をしている中に、短い夏の夜はそろそろ白んで来た。死体は仰向に横えて、顔の上には帽子が被せてあった。

とにかくに人相書を認める必要があるので、一人の少尉がその死体の顔から再び帽子を取除けると、彼は思わずあっと叫んだ。硝子の窓から流れ込む暁の光に照された死体の顔は、いつの間にか狐に変っていた。狐が軍服を着ていたのであった。

「狐が化けるはずはない。」

若い士官たちは容易に承認しなかった。しかし現在そこに横っている死体は、人間でない、勿論M大尉でない。たしかに一匹の古狐であった。若い士官たちが如何に雄弁に論じても、この生きた証拠を動かすことは不可能であった。狐や狸が化けるという伝説も嘘ではないということになってしまった。S君も異議を唱えた一人で、強情に何時までも死体を監視していたが、狐は再び人間に復らなかった。