Japanische Klassiker mit Furigana
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ごかいのまど
五階の窓
森下 雨村
Lesen Sie 五階の窓 (ごかいのまど) von 森下 雨村 (もりしたうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.990 Zeichen · 26 Bildschirme
13
「うむ」
沖田刑事はビルディングと聞いて、ふと心のどこかを刺されたような気がした。と同時に、なにげなくデスクの上の黒い折皮の鞄を手もとに引き寄せながら、金具の右側に消えかかった二つのイニシァル(頭文字)にじっと目をやったと思うと、思わず、
「おや!」
と叫んだ。
13
「こりゃ、えらいものを見つけたぞ!」
沖田刑事は鞄のかぶせ蓋に打ち込まれた頭文字に吸いつくように見入っている。
「なんだね。えらいものって?」
頓狂な声に驚いた小西警部が、覗き込むようにして訊くと、
「これだよ、この鞄に違いないんだ。ぼくのほうの事件さ。それ、Sビルディングの」
「うむ。聞いた聞いた。あれとその鞄とは何か関係があるのかい?」
「大ありだ。これがあの被害者の鞄なんだ。被害者の部屋から見えなくなったので、捜していたんだ。あすこの社員の話では、この中に二千円の現金が入っていたというんだ」
「ほう、そいつはことだ。しかし、この鞄に違いないかい?」
「間違いないよ。ここに打ち込んであるY・Nというのが西村陽吉のイニシァルなんだ。実はぼく、たったいま遺族を訪問して調べてきたんだが、目印はこれだと言ってたから間違いないんだ。