Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとでなしのこい
人でなしの恋
江戸川 乱歩
Lesen Sie 人でなしの恋 (ひとでなしのこい) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.245 Zeichen · 33 Bildschirme
いいえ、お顔が綺麗だとか、そんなことばかりではありません。恋なんて何と不思議なものでございましょう、門野の世間並をはずれた所が、変人というほどではなくても、何とやら憂鬱で、しょっちゅう一途に物を思いつづけている様な、しんねりむっつりとした、それで、縹緻はと申せば、今いう透き通る様な美男子なのでございますよ、それがもう、いうにいわれぬ魅力となって、十九の小娘を、さんざんに責めさいなんだのでございます。
ほんとうに世界が一変したのでございます。二た親のもとで育てられていた十九年を現実世界にたとえますなら、御婚礼の後の、それが不幸にもたった半年ばかりの間ではありましたけれど、その間はまるで夢の世界か、お伽噺の世界に住んでいる気持でございました。大げさに申しますれば、浦島太郎が乙姫様の御寵愛を受けたという龍宮世界、あれでございますわ、今から考えますと、その時分の私は、本当に浦島太郎の様に幸福だったのでございますわ。世間では、お嫁入りはつらいものとなっていますのに、私のはまるで正反対ですわね。いいえ、そう申すよりは、そのつらい所まで行かぬ内に、あの恐ろしい破綻が参ったという方が当たっているのかも知れませんけれど。