Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じんせいせいかいいん

人生正会員

佐々木 邦

Lesen Sie 人生正会員 (じんせいせいかいいん) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.238 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

「何だって?」

「私はこういうものでございます。宜しくお見知り置きをお願い申上げます」

と言って、僕は名刺を出して見せた。実は胸がドキ/\したが、何あに、恐れることはないと勇気を鼓したのだった。

「何の真似だ? これは」

「蛇の生殺しということがありますが、蛙の生殺しということは聞きません」

「何が蛙の生殺しだ?」

「僕です。僕の役にはいつまでも心得という尻尾がついています。不足を申立てゝ恐れ入りますけれど」

「この野郎、おれが弱っていると思って、足許を見やがったな」

と言って、社長は数珠を鷲掴みにした。僕は慌てゝ一歩退いた。以前、口答えをして突き飛ばされたことがある。しかし社長は日頃の片鱗を見せた丈けで、真剣ではなかった。却って御機嫌が好くなって、

「痺れが切れたろうな。よし/\。社長秘書心得小野寺三郎。社長秘書を命ず。日附は今日で宜しい」

と辞令の下書を口授してくれた。僕がその通りを書いたら、

「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」

と念じて、判を捺した。僕は庶務課へ飛んで行って、待っていて尻尾を落して貰った。

社長の仏道発心は半年ばかり続いた。念仏は稍下火になったけれど、数珠は絶対に離さない。