Japanische Klassiker mit Furigana
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にんぎょ
人魚
火野 葦平
Lesen Sie 人魚 (にんぎょ) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.457 Zeichen · 15 Bildschirme
あしへいさん。
御返事ありがとうございました。おいそがしいのに、さっそく返事をいただいて恐縮しました。しかし、あなたの手紙はわたしをおどろかせました。あなたは人魚のことはそっちのけにして、わたしのことばかり、かいていらっしゃる。
――うつくしさをもとめ、うつくしさをうたがう心、人魚がほんとうにうつくしいかどうかについて真剣になやみ、とうとう病気にまでなる心、その君のほうが人魚よりもよっぽどうつくしい。
こんな一節がある。なにをいってるんです。そんなことは聞きたくない。
わたしはまもなく死にます。この手紙をかいていても手がふるえ、だんだん弱ってゆくのがわかります。もう頭の皿の水もひからびてしまって、しめつけられるようにいたいのですが、しかしいまわたくしはふしぎなよろこびにとざされています。こういう死にかたをすることは満足です。
わたしは、やっぱり人魚のうつくしさを信じることができるようになりました。人魚はつねにうつくしい。なにもうたがってみることなんてすこしもなかった。そうしてそのうつくしい人魚を見たことをわたしはほこりとし、わたしの一生を人魚にささげて悔いのない思いになりました。