Japanische Klassiker mit Furigana
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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
Lesen Sie 仇討姉妹笠 (かたきうちきょうだいがさ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.178 Zeichen · 159 Bildschirme
「松浦頼母の屋敷を遁れ、ここに共住みいたしてからも、時たま話す話といえば、お八重様とやらいうお腰元衆の噂、そうでなければ淀屋の独楽を、日がな一日お廻しなされて、文字が出るの出ないのと……お側に居る妾などへは眼もくれず、……ご一緒にこそ住んで居れ、夫婦でもなければ恋人でも……それにいたしても妾の心は、貴郎さまにはご存知のはず……一度ぐらいは可愛そうなと。……お思いなすって下さいましても……」
高い長い鼻筋の横を、涙の紐が伝わった。
「ねえ主税さま」とあやめは云って、介えている手へ力を入れた。
「こう貴郎さまの身近くに寄って、貴郎さまを見下ろすのは、これで二度目でございますわねえ。一度はお茶ノ水の夜の林で、覚兵衛たちに襲われて、貴郎さまがお怪我をなさいました時。……あの時妾は心のたけを、はじめてお打ち明けいたしましたわねえ……そうして今日は心の怨みを! ……でも、この次には、三度目には? ……いえいえ三度目こそは妾の方が、貴郎さまに介抱されて……それこそ本望! 女の本望! ……」
涙が主税の顔へ落ちた。しかし主税は眼を閉じていた。
(無理はない)と彼は思った。