Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あだうちきんしれい

仇討禁止令

菊池 寛

Lesen Sie 仇討禁止令 (あだうちきんしれい) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.238 Zeichen · 35 Bildschirme

Aozora Bunko

姉弟は、なかなか近寄ろうとはしなかった。

「さあ。どうぞ、こっちへ。そこでは話ができん。さあ、さあ」

自分が敵であるという恐怖は薄れ、懐かしさ親しさのみが、新一郎の心に溢れていた。

「貴君方の噂も、時々上京して来る国の人たちからもきき、陰ながら案じていたが、御両人とも御無事で、何より重畳じゃ」

「お兄さまも、御壮健で、立派に御出世遊ばして、おめでとうございます」

昔通り、お兄様と呼ばれて、新一郎は涙ぐましい思いがした。

「今度は、いつ上京なされた?」

「昨日参りました」

「蒸汽船でか」

「はあ。神戸から乗りまして」

「それは、お疲れであろう。お八重殿は、一段と難儀されたであろう」

初めて新一郎に言葉をかけられ、お八重は顔を赤らめて、さしうつむいた。

「只今は、どこに御滞在か」

「蘆沢様に、お世話になっております」

「左様か。拙者の屋敷も、御覧の通り無人で手広いから、いつなりともお世話するほどに、明日からでもお出になってはどうか」

「ありがとうございます。そうお願いいたすかも知れませぬ」

万之助も、昔に変らぬ新一郎の優しさに、涙ぐんでいた。

「今度、御上京の目的は、何か修業のためか、それとも仕官でもしたいためか……」