Japanische Klassiker mit Furigana
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けさのゆき
今朝の雪
宮本 百合子
Lesen Sie 今朝の雪 (けさのゆき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.936 Zeichen · 24 Bildschirme
その不安は、紀子の気持に、何ということはなくとも、映っているのだろう。不安ながら何をどう捕えてよいか、それがさし当って分別されない紀子の感情なのだろう。
そう思えば、自分につっかかって来た心持もその動揺の姿として、堪え得た。学校を出てから数年を経た今日、峯子に、一層しみじみとおどろかれるのは、教育というものが、めいめいの人柄に具っているよさ、わるさ、などというものの発露に、殆んどかかわりないという事実である。
とき子は、薄茶色のスウェーターの片肱を机にかけ、勤勉な手をおとなしくスカートの上に休ませてこちらを向いている。その眼の上には、偶然が、拭いてとることの出来ない隈をつけている。
親のもとに生活し、良人からおそらくは小遣いを送られ、いい服装をして買物包みを膝にのせている紀子に比べて、それは何と質素な、とるに足りない姿だろう。けれども、何とわるびれたところのない姿であろう。とき子は隈のある顔をわるびれずこの人生にむけて生きて行こうとしている。
自分とちがった生の姿がそこにあることをはっきりと認めるだけ、現実に即した心持も紀子には欠けているかのようである。