Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さど

佐渡

太宰 治

Lesen Sie 佐渡 (さど) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.270 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

鞄をかかえて、うろうろしているのが恥ずかしいくらいである。なぜ、佐渡へなど来たのだろう。その疑問が、再び胸に浮ぶ。何も無いのがわかっている。はじめから、わかっている事ではないか。それでも、とうとう相川までやって来た。いまは日本は、遊ぶ時では無い。それも、わかっている。見物というのは、之は、どういう心理なのだろう。先日読んだワッサーマンの「四十の男」という小説の中に、「彼が旅に出かけようと思ったのは、もとより定った用事のためではなかったとしても、兎も角それは内心の衝動だったのだ。彼は、その衝動を抑制して旅に出なかった時には、自己に忠実でなかったように思う。自己を欺いたように思う。見なかった美しい山水や、失われた可能と希望との思いが彼を悩ます。よし現存の幸福が如何に大きくとも、この償い難き喪失の感情は彼に永遠の不安を与える。」というような文章があったけれども、そのしなかった悔いを噛みたくないばかりに、のこのこ佐渡まで出かけて来たというわけのものかも知れぬ。佐渡には何も無い。あるべき筈はないという事は、なんぼ愚かな私にでも、わかっていた。けれども、来て見ないうちは、気がかりなのだ。