Japanische Klassiker mit Furigana
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いど
作家の自伝102 伊藤左千夫
伊藤 左千夫
Lesen Sie 作家の自伝102 伊藤左千夫 (いど) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.100 Zeichen · 19 Bildschirme
甲の家庭を乙が模し、丙の家庭を丁が模すると云うような事は、迚ても出来ないことじゃと信ずる。其の人を解かずして其の家庭を解くは、火を見ないで湯を論ずるようなものである。湯の湧く湧かぬは、釜の下の火次第である、火のない釜に、湯の湧きようはない。家庭の趣味如何を問う前に、主人其の人の趣味如何を見よ、趣味なき人に趣味ある家庭を説くは、火のない釜に、湯の沸くを待つようなものだ、こう云うて了えば、家庭問題と云うものは、全く無意義に帰して終う訳だ。然り教導的に家庭を説くは、全く無意義なもので、家庭を益することは少く、害する方が多いに極って居る。
乍併、家庭は尊いものだ、趣味の多いものだ、楽しみ極りないものだ。人間の性命は、殆ど家庭に依って居ると云ってもよい位だ。されば、人各家庭の事実を説くは、甚だ趣味ある事で、勿論他の参考にもなることである。只自身家庭趣味の経験に乏しく、或は陋劣なる家庭にありながら、徒らに口の先、筆の先にて空想的家庭を説くは、射利の用に供せらるる以外には、何等の意義なしと云ってよかろう。
家庭趣味の事実を談ずることは、談者自ら興味多く、聴く人にも多くの趣味を感じ、且つ参考になることが多い。