Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんかん
俊寛
菊池 寛
Lesen Sie 俊寛 (しゅんかん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.455 Zeichen · 35 Bildschirme
た。
俊寛は、口の中に残る快い感覚を楽しみながら、泉のほとりの青草の上に寝た。そして、過去の自分の生活のいろいろな相を、心の中に思い出してみた。都におけるいろいろな暗闘、陥擠、戦争、権勢の争奪、それからくる嫉妬、反感、憎悪。そういう感情の動くままに、狂奔していた自分のあさましさが、しみじみ分かったような気がした。船を追って狂奔した昨日の自分までが、餓鬼のようにあさましい気がした。煩悩を起す種のないこの絶海の孤島こそ、自分にとって唯一の浄土ではあるまいか。康頼や成経がそばにいたために、都の生活に対する、否、人生に対する執着が切れなかったのだ。この島を仮のすみかと思えばこそ、硫黄ヶ岳に立つ煙さえ、焦熱地獄に続くもののように、ものうく思われたのだ。こここそ、ついのすみかだ。あらゆる煩悩と執着とを断って、真如の生活に入る道場だ。そう思い返すと、俊寛は生れ変ったような、ほがらかな気持がした。
ふと、寝がえりを打つと、すぐ自分の鼻の先に、撫子に似た真っ赤な花が咲いていた。それは、都人の彼には、名も知れない花だった。が、その花の真紅の花弁が、なんという美しさと、清らかさを持っていたことだろう。