Japanische Klassiker mit Furigana
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ぞくしゅう
俗臭
織田 作之助
Lesen Sie 俗臭 (ぞくしゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.630 Zeichen · 70 Bildschirme
権右衛門はさり気ない顔で煙草を吸うていた。――このことを、春松は、いつか千恵造の前でいい出して、それが酒をのんでいる時だったので、泣上戸の彼は泣き出したことがある。泣いたのは、嫁のことを想い出したからだ。嫁は児子家の女中をしていたのを、無理に押しつけられたのだ。その嫁が政江の威光を笠にきることが、春松にとっては癪で仕方がないのだ。だから、ついぞ云い出したことの無い看貫のことを持ち出して、千恵造に訴えるのだ。「わいはこないに権右衛門の為に泥棒の真似までして来たのや、それやなのに、あの主婦は(政江のこと)……」「それをいいな、それを」と千恵造はなだめたが、女のためにお人善しの春松がいうべからざる事迄いいたくなる、その心事には同感出来るものがあった。
大正五年、権右衛門は一万円出来た。口髭を生やしたのはこの年である。大正十年に十万円になった。以後、百万円に達するまでは容易であった、と政江はいう。十万円貯めてからは、たとえば、昼食にはもう鰯だけというようなことはなかったのだ。その頃漸く雇った女中の手前もあった。政江の兄はそれまで豆腐屋をしていたが、廃業して、気楽な煙草屋を始めることになった。