Japanische Klassiker mit Furigana
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ふしゅう
俘囚
海野 十三
Lesen Sie 俘囚 (ふしゅう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.938 Zeichen · 31 Bildschirme
押しよせてくる不安に、あたしはもう堪えられなくなった。なにか救いの手を伸べてくれるものは無いか。
「そうだ、有る有る。お金だ。夫の残していった金だ。それを探そう!」
いつか夫が、莫大な紙幣の札を数えているところへ、入っていったことがあった。あれは五年ほど前のことだったが、研究に使ったとしても、まだ相当残っている筈。それを見つけて、あとはしたいことを今夜からでもするのだ。
あたしは、それから夕方までを、故き夫の隠匿している財産探しに費した。茶の間から始まって、寝室から、書斎の本箱、机の抽斗それから洋服箪笥の中まで、すっかり調べてみた。その結果は、云うまでもなく大失敗だった。あれほど有ると思った金が、五十円と纏っていなかった。この上は、夫の解剖室に入って屍体の腹腔までを調べてみなければならなかったが、あの部屋だけは全く手を出す勇気がない。しかしそれほどまでにせずとも、これ以上探しても無駄であることが判った。それは数冊の貯金帖を発見したことだったが、その帖面の現在高は、云いあわせたように、いずれも一円以下の小額だった。結局わが夫の懐工合は、非常に悪いことが判った。