Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
はいかいさだん
俳諧瑣談
寺田 寅彦
Lesen Sie 俳諧瑣談 (はいかいさだん) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.389 Zeichen · 15 Bildschirme
玄関で立ったまま来意を聞くとさげていた小さなふろしき包みを解いて中からだいぶよごれた帳面を出した。それになんでもいいから俳句を書いてもらいたいという。近くに田舎へ帰るので、できるだけ多くの俳人に自筆の句をもらってみやげにしたいというのである。帳面は俳句日記かなんかの古物であったかと思うが、明けて見るとなるほどいろいろの人の手跡でいろいろの句がきたなく書き散らしてある。自分は俳人でもないからと一応断わってみたが、たってと言われるので万年筆でいいかげんの旧作一句をしたためて帳面を返した。すると今度はふろしきの中から一冊の仮りとじの小さな句集のようなものを取り出して自分の前に置いた。手に取って見るとそれは知名の某俳人の句集であったが、その青年のいうところによると、その俳人がこの人のためにもし何かのたしになるならと言って若干冊だけ恵与されたものだそうである。しかしそれをどうすればよいのかわからなかったので、はなはだ露骨ではあったが「これを私に買えとおっしゃるのですか」と聞いてみたら、やはり究極のところはそうであったのである。
こういう些細なことも昭和俳諧史のどこかのページの端に書き残しておいてもいいと思うので単なる現象記録としてここにしるしておくことにした。