Japanische Klassiker mit Furigana
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いだいなるゆめ
偉大なる夢
江戸川 乱歩
Lesen Sie 偉大なる夢 (いだいなるゆめ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.988 Zeichen · 234 Bildschirme
敵国の触手
新一はその声に振り返りもしなかった。弾丸のような早さでつづら折の坂道を駈けおりていた。そして、追いすがる京子の視野から、忽ちその姿を消してしまった。
京子は一人ぼっちで走る外はなかった。息を切らせて走った。すぐ背後から、何か恐ろしいものが追い駈けてでも来るように、ひた走りに走りつづけた。
敵国の触手
「新一さん、どうかされたんですか。何かあったのですか」新一が息せききって、門を入り、母屋へと走っている横手から、体格のよい背広服の若者が、大声に呼びかけた。五十嵐博士一行を護衛するために出張している私服憲兵下士官の一人である。
「アア、あなたは気づきませんでしたか。今し方怪しい男が屋根から逃げたのです。見晴し台からそれが見えたのです」
「え、屋根から……」
「そいつは煙突から這い出して、屋根伝いに逃げたのです。設計室の煖炉の煙突です」
「アッ、煖炉の煙突。で、そいつはどちらへ逃げました」
憲兵は警視庁外事課出身の新一を信用していた。この青年がこれほど顔色を変えているのは唯事でない。若しや……
「スパイの疑い十分です。裏口の方へ逃げたらしいのです。こちらへ来て見て下さい」