Japanische Klassiker mit Furigana
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いだいなるゆめ
偉大なる夢
江戸川 乱歩
Lesen Sie 偉大なる夢 (いだいなるゆめ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.988 Zeichen · 234 Bildschirme
この騒ぎに、母が一度も顔を見せないのは変です」
「まさか寝んでおられるのじゃあるまいね」
南博士は隣室との境の扉を目で示しながらいった。その扉の向うの部屋が、ときどき来訪する五十嵐夫人の寝室に当ててあった。廊下を廻らなくても、その扉さえ開けば、老博士夫妻はお互に往き来が出来るようになっていた。
新一は無言のまま立って行って、その扉を開いた。
「空っぽです。……変だなあ、お父さんを放っておいて、一体どこへ行っているのだろう」
騒ぎにまぎれて今まで誰もそこへ気附かなかったが、重傷者の傍らにその夫人の姿が見えぬというのは、ただ事ではない。犯人は老博士に瀕死の重傷を負わせ、重要書類の入った折鞄を奪い去ったばかりでは満足せず、博士夫人にさえも何等かの危害を加えたのではあるまいか。
新一は母の寝室に入って行って、その辺を探し廻っている様子であったが、暫くすると扉のところへ戻って来て、南博士をソッと手招きした。「黙って」という合図をして、しきりと手招きするのである。
博士は丁度そこへ戻って来た山下伍長に、負傷者の身辺の警戒を頼んで置いて、老博士夫人の寝室へ入って行った。