Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いだいなるゆめ

偉大なる夢

江戸川 乱歩

Lesen Sie 偉大なる夢 (いだいなるゆめ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.988 Zeichen · 234 Bildschirme

Aozora Bunko

縄を解き、猿轡をはずされても、夫人は口を利く気力もなく、グッタリとなって肘掛椅子によりかかっていたが、新一が階下に走って持って来たコップの水に、いくらか正気づいて、途切れ途切れにことの次第を語るのであった。

「大きな奴でしたよ。頑丈な鉄のような腕をしていました。目が醒めた時には、もう口の中へこれを押し込まれて、声を立てるどころか、息をするのがやっとでした」

夫人は足下に落ちている猿轡の手拭の丸めたのを指し示した。

「きっとあいつですね。折鞄を狙っている奴ですね。あれは大丈夫ですか。盗まれやしなかった?」

「盗まれたのです。その男の顔を見ましたか」

新一は老博士の重傷のことは、わざと語らなかった。彼は母を箪笥から助け出す前に、用心深く負傷者の部屋との境の扉を閉めておいたのである。

「アア、やっぱりね。そいつの顔は見えません。電燈が消してあったんだもの。月明りで大入道のような影をチラッと見たばかり、そのあとは何が何だか夢中でしたよ。気を失ってしまったのかも知れません。箪笥の中に入れられたということが分ったのは、随分たってからですものね。それから、どうかして人に知らせようと思って、膝で箪笥の戸を叩いたのだけれど、あの狭い中に海老のようになって押し込められていたのだから、思うように戸を叩くことさえ出来なかったのですよ