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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちゅうとう

偸盗

芥川 竜之介

Lesen Sie 偸盗 (ちゅうとう) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.934 Zeichen · 97 Bildschirme

Aozora Bunko

「今のやつを見た?」

沙金は、被衣を開いて、汗ばんだ顔を見せながら、笑い笑い、問いかけた。

「見なくってさ。」

「あれはね。――まあここへかけましょう。」

二人は、石段の下の段に、肩をならべて、腰をおろした。幸い、ここには門の外に、ただ一本、細い幹をくねらした、赤松の影が落ちている。

「あれは、藤判官の所の侍なの。」

沙金は、石段の上に腰をおろすかおろさないのに、市女笠をぬいで、こう言った。小柄な、手足の動かし方に猫のような敏捷さがある、中肉の、二十五六の女である。顔は、恐ろしい野性と異常な美しさとが、一つになったとでもいうのであろう。狭い額とゆたかな頬と、あざやかな歯とみだらなくちびると、鋭い目と鷹揚な眉と、――すべて、一つになり得そうもないものが、不思議にも一つになって、しかもそこに、爪ばかりの無理もない。が、中でもみごとなのは、肩にかけた髪で、これは、日の光のかげんによると、黒い上につややかな青みが浮く。さながら、烏の羽根と違いがない。次郎は、いつ見ても変わらない女のなまめかしさを、むしろ憎いように感じたのである。

「そうして、お前さんの情人なんだろう。