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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちゅうとう

偸盗

芥川 竜之介

Lesen Sie 偸盗 (ちゅうとう) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.934 Zeichen · 97 Bildschirme

Aozora Bunko

「おぬしを殺して、なんで親殺しになる?」

太郎は、目を窓にやりながら、吐き出すように、こう言った。四角に空を切りぬいた窓の中には、枇杷の木が、葉の裏表に日を受けて、明暗さまざまな緑の色を、ひっそりと風のないこずえにあつめている。

「親殺しじゃよ。――なぜと言えばな。沙金は、わしの義理の子じゃ。されば、つながるおぬしも、子ではないか。」

「じゃ、その子を妻にしているおぬしは、なんだ。畜生かな、それともまた、人間かな。」

老人は、さっきの争いに破れた、水干の袖を気にしながら、うなるような声で言った。

「畜生でも、親殺しはすまいて。」

太郎は、くちびるをゆがめて、あざわらった。

「相変わらず、達者な口だて。」

「何が達者な口じゃ。」

猪熊の爺は、急に鋭く、太郎の顔をにらめたが、やがてまた、鼻で笑いながら、

「されば、おぬしにきくがな、おぬしは、このわしを、親と思うか。いやさ、親と思う事ができるかよ。」

「きくまでもないわ。」

「できまいな」

「おお、できない。」

「それが手前勝手じゃ。よいか。沙金はおばばのつれ子じゃよ。が、わしの子ではない。されば、おばばにつれそうわしが、沙金を子じゃと思わねばならぬなら、沙金につれそうおぬしも、わしを親じゃと思わねばなるまいがな。