Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ちゅうとう

偸盗

芥川 竜之介

Lesen Sie 偸盗 (ちゅうとう) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.934 Zeichen · 97 Bildschirme

Aozora Bunko

太郎は、片目をあげて、別人を見るように、相手のべそをかいた顔をながめた。

「めぐり会ってみれば、おばばは、もう昔のおばばではない。わしも、昔のわしでなかったのじゃ。が、つれている子の沙金を見れば、昔のおばばがまた、帰って来たかと思うほど、おもかげがよう似ているて。されば、わしはこう思うた。今、おばばに別れれば、沙金ともまた別れなければならぬ。もし沙金と別れまいと思えば、おばばといっしょになるばかりじゃ。よし、ならば、おばばを妻にしよう――こう思い切って、持ったのが、この猪熊の痩世帯じゃ。………」

猪熊の爺は、泣き顔を、太郎の顔のそばへ持って来ながら、涙声でこう言った。すると、その拍子に、今まで気のつかなかった、酒くさいにおいが、ぷんとする。――太郎は、あっけにとられて、扇のかげに、鼻をかくした。

「されば、昔からきょうの日まで、わしが命にかけて思うたのは、ただ、昔のおばば一人ぎりじゃ。つまりは今の沙金一人ぎりじゃよ。それを、おぬしは、何かにつけて、わしを畜生じゃなどと言う。このおやじがおぬしは、それほど憎いのか。憎ければ、いっそ殺すがよい。今ここで、殺すがよい。