Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゅうとう
偸盗
Lesen Sie 偸盗 (ちゅうとう) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.934 Zeichen · 97 Bildschirme
打つ。噛む。髪をむしる。しばらくは、どちらがどちらともわからなかったが、やがて、猿のようなものが、上になると、再び小刀がきらりと光って、組みしかれた男の顔は、痣だけ元のように赤く残しながら、見ているうちに、色が変わった。すると、相手もそのまま、力が抜けたのか、侍の上へ折り重なって、仰向けにぐたりとなる――その時、始めて月の光にぬれながら、息も絶え絶えにあえいでいる、しわだらけの、蟇に似た、猪熊のばばの顔が見えた。
老婆は、肩で息をしながら、侍の死体の上に横たわって、まだ相手の髻をとらえた、左の手もゆるめずに、しばらくは苦しそうな呻吟の声をつづけていたが、やがて白い目を、ぎょろりと一つ動かすと、干からびたくちびるを、二三度無理に動かして、
「おじいさん。おじいさん。」と、かすかに、しかもなつかしそうに、自分の夫を呼びかけた。が、たれもこれに答えるものはない。猪熊の爺は、老女の救いを得ると共に、打ち物も何も投げすてて、こけつまろびつ、血にすべりながら、いち早くどこかへ逃げてしまった。そのあとにももちろん、何人かの盗人たちは、小路のそこここに、得物をふるって、必死の戦いをつづけている。