Japanische Klassiker mit Furigana
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あにのこえ
兄の声
小川 未明
Lesen Sie 兄の声 (あにのこえ) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 4.426 Zeichen · 9 Bildschirme
形がいびつとなって、ところどころ穴があいているのも、心なしにながめることは、できません。
兄のところへ、友だちが、たずねてくると、しぜんと生活の感想や、世間の様相が話にのぼりました。兄のこれらの意見も、このくつをはいて、あるくうちに得られた体験でありましょう。
兄は、こういうのでした。
正直で、しんせつで、謙遜な人というものは、たとえ、はじめてあった人でも、もうこれまでにいくたびもあったことがあるような、なつかしさをおぼえるものだ。
「あなたとはいつかどこかでお目にかかったことがありますね。」と、ききたくなることがある。そんなときは、しいて自制しながら、
「なんで、そんなことがあるものか。きちがいでないかぎり、だしぬけに聞かれるものではない。」と、自分をしかるのだ。
また、こんなおかしなことを空想することもある。
「もしかすると、前世において、出あった人かもしれないぞ。」と。
「いや、まったく、ばかげきった話ですが、世の中に善良な人間ほど、相手を感激させるものは、ありません。」と、兄は、いうのでした。すると、兄の友だちは、
「そうですか。そういういい人と、どこで、おあいなされましたか。