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Japanische Klassiker mit Furigana

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あにのこえ

兄の声

小川 未明

Lesen Sie 兄の声 (あにのこえ) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 4.426 Zeichen · 9 Bildschirme

Aozora Bunko

」と、かならず問うのであります。

兄は、友だちに、

「わたしは、社用で、方々の会社や、工場を訪問します。そして、いく人となく情味のゆたかな人たちと出あいました。ところがふしぎに、それが門番とか、受付とか、地位の低い人々にかぎっていました。さもなければ、大衆食堂の前へならぶような人々であります。それらの人たちとは、顔を見たさいしょから、なんでも心のうちを、うちあける気持ちになれば、また一本のたばこを分けあったこともめずらしくありません。なにがそうさせるのか、とにかく、この苦痛の多い世の中で、こうした人々の存在は、どんなになぐさめとなることでしょう。わたしは、会社の内にいるときより、外を出あるくときのほうが愉快なのも、そのためです。」と、語るのでした。

「じゃ、社内の空気が、おもしろくないのですか。」と、友だちは、きくのであります。

「考えてごらんなさい。命令と服従しかないところに、いったい、なごやかさなどというものがありましょうか。」と、兄は、答えました。

兄は、おだやかな性質であったけれど、だれに対しても、正直に思ったことを話しました。ことに友人に対しては、すこしもかくしだてすることはなかったのです。