Japanische Klassiker mit Furigana
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あにのこえ
兄の声
小川 未明
Lesen Sie 兄の声 (あにのこえ) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 4.426 Zeichen · 9 Bildschirme
」と、母は、目をしばたいていました。
しかし、それきり、兄は家へ帰らなかったのです。やはり特攻隊に入っていたのでした。あとで、このことも知ったのですが、兄はあのとき、いとまごいのつもりできて、わたしたちに気づかれぬように、アルバムから、父と母の写真をはいで持っていきました。
戦争中、特攻隊が、よく出発前、別れのことばを放送して故国にのこしたことがありますが、地域の関係からか、兄はこれに加わらなかったのです。しかしながら、ぼくは、現在でも、道をあるいているときとか、またぼんやり空想にふけっているときとか、そんなようなときに、どこからともなく、兄の声をきくことがあります。
ことにさんらんとして夕焼けのする晩方などに、あざやかといってもいいくらい、はっきりと、なつかしい兄の声をきくことがあります。
「おまえは、真に自由と、正義と、平和のために、生命のかぎりをつくせ!」と。
それは、短い生涯であったけれど、美と平和をこのうえなく愛した兄として、こういって、ぼくをはげましてくれるのは、まことに、当然のことと思われるのであります。