Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
を廻れば五町もあろうか、主屋、離室、客殿、亭、厩舎、納屋から小作小屋まで一切を入れれば十棟余り、実に堂々たる構造であったが、その主屋の一室に主人紋兵衛は臥せっていた。
「灯火が暗い。もっと点せ」
夜具からヒョイと顔を出すと、譫語のように紋兵衛は云った。年は幾歳か不明であったが、頭髪白く顔には皺があり、六十以上とも見られたが、どうやらそうまでは行っていないらしい。大きい眼に高い鼻、昔は美男であったらしい。
「灯火は十も点っております」
附き添っている十人の中には、剣客もあれば力士もあり柔術に達した浪人もあり、手代、番頭、小作頭もある。それらさまざまの人物がギッシリ一部屋に集まった。四方に眼を配っていたが、番頭の佐介はこう云うと紋兵衛の顔を覗き込んだ。
「ご覧なさいませ部屋の中には行灯が十もござります。なんの暗いことがございましょう」
「いいや暗い、真っ暗だ。早く灯心を掻き立ててくれ」
「それじゃ卯平さん掻き立ててくんな」
「へい」と云うと手代の卯平は、静かに立って一つ一つ行灯の火を掻き立てた。いくらか部屋が明るくなる。
「時に今は何時だな?」
気遣わしそうに紋兵衛は訊く。