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Japanische Klassiker mit Furigana

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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme

Aozora Bunko

ヒ、ヒ、ヒという笑い声はその口から来るのであった。

そうして何より気味の悪いことは、人面疽の眼が気絶している紋兵衛の顔に注がれていることで、その眼には憎悪が満ち充ちている。

余りのことに葉之助は自分の視覚を疑った。

「こんな筈はない、こんな筈はない!」

叫ぶと一緒に眼を閉じたのは、恐ろしいものを見まいとする本能的の動作でもあろうか。しかしその時断ち切ったように気味の悪い笑い声が消えたので、彼はハッと眼を開けた。

人面疽は消えている。後には歯形があるばかりだ。

「さてはやはり幻覚であったか」ホッと溜息をした葉之助は、額の汗を拭ったものの、その恐ろしさ気味悪さは容易の事では忘られそうもない。

その時またも戸の外から嘆願するような大勢の声が咽ぶがように聞こえて来た。

「お返しくだされお返しくだされ。宗介天狗の黄金の甲冑、どうぞお返しくださいませ」

「これはいったいどうしたことだ」葉之助は呟いた。「あれは妖怪の声だというに、俺には懐しく思われてならぬ。懐しいといえば人面疽の顔さえ妙に懐しく思われる。……妖怪の声を聞いていると故郷の人の話し声でも聞いているような気持ちがする。