Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme

Aozora Bunko

因果応報天罰覿面、恐ろしいかな! 恐ろしいかな! で、復讐をとげると同時に、私どもは下界を棄て、再び魔人の住む所、八ヶ嶽山上へ取って返し、平和と自由の生活を、送るつもりでございます。自然下界の皆様方とも、お別れしなければなりません。そのお別れも数日の間に逼っているのでございます。アラ嬉しやアラ嬉しや! ついては今日は特別をもって、我ら窩人がいかに勇猛で、そうしていかに野生的であるかを、お眼にかけることに致しましょう。我らにとって熊や猪は、仲のよい友達でございます。その仲のよい友達同士が、相搏ち相戯れる光景は必ず馬鹿者の下界人にも、興味あることでございましょう。実に下界人の馬鹿たるや、真に度しがたいものであって……」

「引っ込め、爺」

と見物は、今や総立ちになろうとした。

と突然杉右衛門は、楽屋に向かって声をかけた。

「さあ出て来い、岩太郎!」

「応!」

と返辞る声がしたが、忽ち一個の壮漢が、颯と舞台へ躍り出た。年の頃は四十五、六、腰に毛皮を巻きつけたばかり、後は隆々たる筋肉を、惜し気もなく露出していたが、胸幅広く肩うずたかく、身長の高さは五尺八寸もあろうか、肌の色は桃色をなし、むしろ少年を想わせる。