Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme

Aozora Bunko

それから匙で砂糖を入れた。

「まず拙者お毒味を致す」

こう云うと一つの茶碗を取り上げ、半分ばかりグッと呑んだ。

「温加減もまず上等、いざお験しくださいますよう」

「さようでござるかな、これは珍味」

葉之助は茶碗を取り上げたが、そこでちょっとためらった。

五

茶碗を取り上げた葉之助が、急に飲むのを躊躇したのは、当然なことと云わなければならない。

「評判のよくない大槻玄卿、どんなものをくれるか解るものか」つまり彼はこう思ったのであった。

玄卿はするとニヤリと笑った。

「いや鏡葉之助殿、愚老毒などは差し上げません。どうぞ安心してお試しくだされ」

図星を差されたものである。

「とんでもないこと、どう致しまして」

葉之助は苦笑したが、今はのっ引きならなかった。で、一息にグーと飲んだ。日本の緑茶とは趣きの異った、強い香りの甘渋い味の、なかなか結構な飲み物であった。

「珍味珍味」と葉之助は、お世辞でなくて本当に褒めた。

「産まれて初めての南蛮紅茶舌の正月を致してござる」

「お気に叶って本望でござる。いかがかな、もう一杯?」

「いや、もはや充分でござる」

葉之助は辞退した。