Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
人の家の一室であった。
そうだそれは部屋であった。しかも普通の部屋ではなかった。
それは非常に広い部屋で、畳を敷いたら百畳も敷けよう、行灯が細々と灯っていた。そうして縛られた女や男が、あっちにもこっちにも転がっていた。
呻く者、泣く者、喚く者、縛られたまま転げ廻る者、呪詛いの声を上げる者、……部屋の内はそれらの声で、阿鼻地獄を呈していた。
人の類も様々であった。まず女から云う時は、町家の娘、ご殿女中、丸髷に結った若女房、乞食女、いたいけな少女、老いさらばった年寄りの女、女郎らしい女、芸妓らしい女、見世物小屋の太夫らしい女、あらゆる風俗の女達が、もだえ苦しんでいるのであった。
男の方も同じであった。商家の手代、商家の丁稚、役者、武士、職人、香具師、百姓、手品師、神官、僧侶……あらゆる階級の男達が、狂いあばれているのであった。
そうしてそれらの人々の上を、行灯の微光が照らしていた。
低い天井、厳重な壁、出入り口の戸はとざされていた。
これを見た葉之助は驚くよりも、恐怖せざるを得なかった。彼は棒のように突っ立った。
「いったいここはどこだろう? いったいどういう家だろう? この人達は何者だろう? いったい何をしているのだろう?」