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Japanische Klassiker mit Furigana

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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は羽目板を背に背負った。

眼に余る大勢の相手であった。八方へ眼を配るべきを彼は逆に応用した。正一眼一心前方ただ正面をひたすらに睨んだ。飛び込んで来る敵を切ろうとするのだ。

「横竪上下遠近の事」一刀流兵法十二ヵ条のうち、六番目にある極意であった。

正面をさえ睨んでいれば、横竪上下遠近の敵が、自ら心眼に映ずるのであった。と云ってもちろん初学者には――いやいや相当の使い手になっても、容易にそこまでは達しられない。ただ奥義の把持者のみが、その境地に達することが出来る。そうして鏡葉之助は、その奥義の把持者であった。剣にかけては天才であった。だが彼は疲労れていた。毒薬を飲まされた後であり、地下に埋められた後であった。しかし非常な場合には、超人間的勇気の出るものであった。

構えた太刀には隙がなかった。

と、一人飛び込んで来た。

大兵肥満の武士であった。もちろん信者の一人であった。

鏡葉之助は美少年、女のような優姿。しかも一人だというところから、侮りきって構えもつけず、颯と横撲りにかかって来た。そこを自得の袈裟掛け一刀、伊那高遠の八幡社頭で、夜な夜な鍛えた生木割り! 右の肩から胸へ掛け、水も堪まらず切り放した。