Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
「や、これは北山先生!」
「おお、これは葉之助殿!」
「先生には今時分こんな所に?」
「万事は後で……ともかく一緒に……」
二人は町の方へ走って行った。
その翌日のことであった。神田の旅籠屋北山の部屋で、北山と葉之助とが話していた。
「……窩人に云わせると宗介蛇、蘭語で云うとエロキロス、これは珍らしい毒蛇で、これに噛まれると、一瞬間に死んでしまう。しかも少しも痕跡を残さない。この毒蛇の特徴として、茴香剤をひどく好む。そいつを嗅ぐと興奮する。で、例の白粉だが、云うまでもなく茴香剤なのさ、大槻玄卿が製したものだ。
ところが一昨日の晩のことだ。浅草観音の境内へ行き、偶然窩人達の話を聞いた。毒蛇を盗まれたと云っていた。はてなと俺は考えた。考えながら根岸へ行った。と、白粉が引かれてあった。口笛のような音がして、紐のようなものが走って来た。そこで初めて感附いたものさ……エロキロスは、茴香剤を嗅がされると、喜びの余り音を立てる、一種歓喜の声なのだ……つまり三人の悪党どもは、森家から内藤家の寝所まで、茴香剤の線を引き、その上をエロキロスを走らせて、若殿を咬ませたのさ……ところで毒蛇エロキロスは、一度丹砂剤を嗅がされると、発狂をして死んでしまう。