Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
まさか内藤家の家老の家柄、鏡家の当主葉之助が、辻斬りの元兇であろうとは、想像もつかないことである。
だがやがてパッタリと、辻斬り沙汰がなくなった。
内藤駿河守が江戸を立って、伊那高遠へ帰ったからであった。
だが内藤家の行列が、塩尻の宿へかかった時、一つの事件が突発した。と云っても表面から見れば別に大したことでもなく、鏡葉之助が供揃いの中から、にわかに姿を眩ましただけであった。
鏡家は内藤家では由緒ある家柄、その当主が逃亡したとあっては、うっちゃって置くことは出来なかった。
八方へ手を分けて捜索した。しかし行方は知れなかった。
三〇
彼はいったいどうしたのだろう? いったいどこへ行ったのだろう?
彼は八ヶ嶽へ行ったのであった。
彼は母山吹の故郷! 彼の血統窩人の部落! 信州八ヶ嶽笹の平へ、夢遊病者のそれのように、フラフラと歩いて行ったのであった。
塩尻から岡谷へ抜け、高島の城下を故意と避け、山伝いに湖東村を通り、北山村から玉川村、本郷村から阿弥陀ヶ嶽、もうこの辺は八ヶ嶽で、裾野がずっと開けていた。
三日を費やして辿り着いた所は、笹の平の盆地であった。