Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
「何さ、雪のある間だけは部落はいつもお祭りだってことよ。その隙に仕事をしようって事よ」
一五
こういうことがあってからまた幾月かの日が経った。
一月となり二月となり、暖かい江戸では梅が散り桜の花が咲こうというのに、窩人部落の笹の平は深い雪に包まれていた。
そうして大変平和であった。
いつも唄声と笑い声とが点々と散らばって立っている家々の中から聞こえて来た。
彼らは歓楽に耽っているのだ。
しかしそういう平和な部落にも時あって禍いが起こるものである。
ある日、大声で喚きながら雪の部落を駈け廻るものがあった。それは他でもない岩太郎である。
人々は驚いて彼を引き止めて、どうしたのかと訳を聞いた。
「杉右衛門の娘の俺の許婚、あの美しい山吹が、部落を捨て俺を見限り下界の虚栄に憧憬れて多四郎めと駈け落ちした」
これが岩太郎の返辞であった。
「罰当りめ!」
と、人々は、それを聞くとまず云った。
「この結構な住居を捨て、先祖代々怨み重なる下界の人間と一緒になるとは神罰を恐れぬ馬鹿な女だ。恐らく将来よい事はあるまい、後悔するに相違ない」
こう云って彼らは部落を去った女を、あるいは憎みあるいは憐れんだ。