Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
「おい多四郎どうしたものだ。せめてお別れの挨拶でもしねえ、振り返って小屋ぐらい見たがよかろう。……ヒューッ」
と口笛で犬をあやす。すると巨大な三頭の犬はグイと頭を下へ垂れ後脚へ力をウンと入れた。とたんにスルリと前へ出る。パッと立つ雪煙り、静かに橇は辷り出た。
「へ」
と多四郎は鼻で笑ったが、「俺らアそんな甘いんじゃねえよ。……部落の女がどうしたって云うんだい」
「おおおお偉そうに云ってるぜ。へ、どうしたが呆れ返らあ。お前一時はあの女で血眼になっていたじゃねえか」
「うん、そうよ、一時はな。……窩人窩人で城下の奴らが鬼のように恐れているその窩人の娘とあっては、ちょっと好奇心も起ころうというものだ。それに容貌だって相当踏める。変わった味だってあるだろう。当座の弄みにゃ持って来いだ。お前だってそう思うだろう」
「ところで味はよかったかな」
「俺にとっちゃ初物だった。第一体がよかったよ。色の白さと柔かさとに羽二重というより真綿だね。それに情愛の劇しさと来たら、ヒヒヒヒ、何んと云おうかな」
「畜生!」
と権九郎は叫びながらヒューと鞭を空に振り一匹の犬を撲りつけたが、「へ、うまくやりやがったな。