Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
「こら、畜生! 道草を食うな」
権九郎は自棄に怒鳴りながら横へ逸れる犬を引き締めた。「雪の降ってる冬の夜中だ。道草食うにも草はあるめえ、トットットットッ。走れ走れ!」
権九郎はむやみと鞭を振る。
一八
雪で蔽われた森や林が蒼い月光に照らされて幽霊のように立っている。橇が走るに従ってだんだんそれが近寄って来る。やがて橇が行き過ぎるとそれもだんだん後の方へ小さく小さく消えて行く。白無垢を着た険しい山や巨大な獣の口のようにワングリと開いた谿なども橇が進むに従って次第次第に近寄って来、橇が行き過ぎるに従って後へ後へと飛び去って行く。そうして空の朧月は、橇が進もうが走ろうがそんなことには頓着せず、高い所から茫々と橇と人とを照らしている。
橇の上の人間は――五味多四郎と権九郎とは、少しの間黙っていた。権九郎は手綱を弛められるだけ弛め、犬を自由に走らせながら、早く城下へ帰って行き暖かい居酒屋で酒をあおりながら素晴らしい獲物の分け前を取れるだけ沢山取ってやろうと、こんな事を腹の中で考えていた。それに反して多四郎は、この素的もない黄金を自分一人でせしめたいものだと魂胆を巡らしているのであった。