Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
煙草の煙りを口からフワリ……これが三蔵の挨拶である。さすが代稽古をするだけに腕前は勝れてはいたものの、その腕前を鼻にかけ、且つ旋毛の曲がった男、こんな挨拶もするのであった。
あちこちでクスクス笑う声がする。
四
しかし葉之助は気にも掛けず端然と坐って膝に手を置いた。それからジロリと構内を見る。どうして沈着いたものである。
葉之助が現われるとほとんど同時にバタバタと稽古は止めになったので、構内には竹刀の音もない。変に間の抜けた様子であったが、つと進み出たのは近藤司気太、
「鏡氏、一本お稽古を」
「いや」と葉之助は言下に云った。「二、三本どうぞお見せくだされ」
「へへえ、さようで」
と近藤司気太妙な顔をして引っ込んだが、これは正に当然である。ご覧なされと引っ張り込んで置いて誰も一本も使わないうちにさあ立ち合えと云うのであるからポンと蹴るのは理の当然だ。
「偉いぞさすがは鏡家の養子」葉之助贔屓の連中はさもこそとばかり溜飲を下げた。
「ふん、チョビスケの近藤め、出鼻から赤恥をかかされおって」
しかし一方若侍どもは悠々逼らざる葉之助の態度を面憎いものに思い出した。