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Japanische Klassiker mit Furigana

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しゃせいにでかけたしょうねん

写生に出かけた少年

小川 未明

Lesen Sie 写生に出かけた少年 (しゃせいにでかけたしょうねん) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 1.639 Zeichen · 4 Bildschirme

Aozora Bunko

「どうして、ばかになったのだろうね。」

南は目をみはりながら、あちらからくる男を見ていました。帽子もかぶらずに、手のひらを熱心に見つめています。

「あれは、金貨みたいだね。」

「は、は、は、金貨なもんか。きっと、新しい一銭銅貨なんだよ。光るから喜んで見ているのだろう。」

「たくさん持っているね。」

「ほんとうに、光るのばかりためたんだろう。」

ふつうならば、高等小学か、中学一年へでも入っている年ごろでした。どうしてばかになったんだろうと思うと、南は、なんだかいじらしい気がして、笑われなくなりました。

男は、こちらに自分を見ているものがいるとも知らず、また、夏の景色がどんなに美しかろうと目を向けず、ただ、手のひらの銅貨に気をとられて、ひとり、にやにや、たのしそうに笑いながら、わきみもせずに、道を歩いていました。

すると、こっちから、馬子が、手綱をとり、馬に空車を引かせてやってきました。

そして、いつかばかとすれちがいになったのです。それでもばかは、ただ自分の手のひらの上の銅貨だけを数えたり、ながめたりしていました。

「あぶない。」と、西田が、思わず、いったときです。