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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふゆのうみ

冬の海

宮本 百合子

Lesen Sie 冬の海 (ふゆのうみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.933 Zeichen · 4 Bildschirme

Aozora Bunko

あんまりはっきり晴れ渡らない空合で、風も静かに気にかからぬまでに吹いて居る。

丁度満潮時で、海面は白と藍のむら濃になってゆるやかに息をついて居る。

かなり久しい間、海に来ないで居たので、波の音が、脳の中の、きたないものを皆持って行って呉れるかと思われる様に、新らしく感じられる。

小田原の海ほど高い波がよせないので、つれて景色ものどやかで、見て居ても快い。

波面と、砂がまぼしくひかる上から、短かい、細かな「かげろう」がチラチラもえて居る。

向うの青々した山の裾まで、かるく、ゆれて、ホンノリとして見えるので、まるで初春の雲雀でも鳴いて居る時の様に思われる。

まだ三※日がすまないので、漁船は皆浜に上って居て、胴の間に船じるしの「のぼり」と松が立ててあるその下で、「あさぎ地」に赤で、裾模様のある、あの漁師特有の「どてら」の様なブワッとしたものを着た、色のまっ黒な男が、「あみ」をつくろったり、立ち話しをしたりして居る。

いかにもお正月らしい。

正月の海辺は今年始めて見たのだけれ共、東京の町中等より眼先のかわった、単純な面白味がある。

漁師共の着て居るその「どてら」