Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふゆのはなび

冬の花火

太宰 治

Lesen Sie 冬の花火 (ふゆのはなび) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.986 Zeichen · 44 Bildschirme

Aozora Bunko

それだけの事なのよ。あたしのせいだなんて、ひどいわ。あたしがあなたを忘れていたように、あなただって、あたしを忘れていたのよ。そうしてこんどあたしが帰って来たという事を聞いて、急に、気がかりになって、何だかあたしを憎らしくなって来たのに違いないわ。人間って、そんなものだわ。

(清蔵)(急にふてぶてしく)違うよ。その証拠には、私はいまでも独身です。いい加減に私を言いくるめようたって駄目です。私はもう、三十四になります。この地方では、三十四にもなって、独身でいると、まるでもう変り物の扱いを受けます。どこか、かたわなのではないかなどと、ひどい噂まで立てられます。それでも、私はあなたを忘れられなかった。あなたはもう、よそへお嫁に行ったのですし、あなたを忘れなければならぬと思っても、どうしてもそれは出来なかったのです。それには、理由があるのです。数枝さん、私は島田哲郎の小説を読んだのです。あなたの御亭主は、どんな小説を書いているのか、妙な好奇心から東京の本屋に注文して島田哲郎の新刊書を四五種類取り寄せました。取り寄せなければよかった。あれを読んで私はどんなにみじめに苦しんだか、あなたには想像もつかないでしょう。