Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふゆのはなび

冬の花火

太宰 治

Lesen Sie 冬の花火 (ふゆのはなび) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.986 Zeichen · 44 Bildschirme

Aozora Bunko

感じています。あたしはこの母を、あたしの命よりも愛しています。そうして母も、それと同じくらいあたしを愛しているのです。あたしの母は、立派な母です。そうして、それから、美しい母です。あたしがあの、ほとんど日本国中が空襲を受けているまっさいちゅうに、あなたたちのとめるのも振り切って、睦子を連れてまるで乞食みたいな半狂乱の恰好で青森行きの汽車に乗り、途中何度も何度も空襲に遭って、いろいろな駅でおろされて野宿し、しまいには食べるものが無くなって、睦子と二人で抱き合って泣いていたら、或る女学生がおにぎりと、きざみ昆布と、それから固パンをくれて、睦子はうれしさのあまり逆上したのか、そのおにぎりを女学生に向って怒って投げつけたりなどして、まあ、あさましい、みじめな乞食の親子になりさがり、それでもこの東北のはての生れた家へ帰りたくてならなかったのは、いま考えてみると、たしかにあたしは死ぬる前にいまいちどあたしの美しい母に逢いたい一念からだったのでした。あたしの母は、いい母です。こんどの母の病気も、もとはと言えば、あたしから起ったようなものなのです。あたしは、いまはこの母を少しでも仕合せにしてあげたい。