Japanische Klassiker mit Furigana
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ふゆがれ
冬枯れ
徳永 直
Lesen Sie 冬枯れ (ふゆがれ) von 徳永 直 (とくながすなお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.850 Zeichen · 48 Bildschirme
鷲尾が東京の同じような模様を話しても、それに肯くでもなく、もッと他のことを考えているような暗い顔色だった。
「ま、落つきたまえ、え?」
「…………」
「こんなときゃ、ツイつまらないことを考えるもンだよ、いやホンとだよ」
鷲尾には、この若者の追いつめられた気持がわかる気がしていた。
「…………、こんどが初めてじゃないんだ。何度もあったもんだよ。――それに君ァ病気じゃないか、落ちついてそれからまず癒したまえ……」
「え――」
「ぼくらはいつも健康でなくちゃいかん。健康な精神こそ……………判断できるんだ。落ちつきたまえ、ねえ、落ちつきたまえ」
云いながら、フッと気がついてそれは自分自身に納得させているのだと思うと鷲尾は顔が赫くなった気がした。――
きょうはまるで朝から日射しものぞかせない灰色の冬空がますます低くおりてきて、ふきあげるひどい空らッ風が、腰かけている赤肌の松の巨木をユサユサと揺ぶった。
二人は山道を降りかけたが、いくらか元気になったようなM君がこんなことを云った。
「――竹永愛子てち、知っとんなはりますど。ホラ、町の米屋の――」
「竹永愛子?」
鷲尾は一寸憶い出せなかったが、相手の次の言葉で、思わず足をとめてしまった。